映画「DAIANA」を観た。
冒頭から最後に至るまで、物音がとても印象的な映画。
そして、主人公が電話口で「ウィリアム」と話しかけても、ウィリアムが誰なのか、どういう関係なのか、そんな説明はいらない映画なんだなと改めて思った。
世界一有名な女性の話。
ナオミ・ワッツの役作りなんて私が改めて何か言うこともない。
ただ、彼女が少し顎を引いて見上げる、黒いアイラインで囲まれた目を見たら、子どもの頃テレビで観た英国王妃の姿を鮮明に思い出した。
世界一有名な女性の喜びと、圧倒的な苦悩、孤独の話。
それでも、家族との関係や、恋愛で味わう心の浮き沈み、喪失感は、誰もが経験したことのある身近なもののようにも感じられる。
才能ある、勇気ある、美しい女性が素晴らしいスピーチをする姿と、
部屋で1人傷ついている時の小さな背中。
美しく生きようとすることは戦いなのか。
傷つきながら戦う姿が美しいのか。
「彼女は不器用な女性」と監督に表現されていたけれど、不器用がひたむきに生きている姿は、あぶなっかしくて、強い光を放つのかもしれない。
エンディングを知りながら観た映画だったけれど、
やはり悲しいな。美しいのだけれど。