初めて降りた南ヨーロッパの地は、バルセロナ=エル・プラット空港(Barcelona-El Prat Airport)。
スペイン国内ではマドリッド=バラハス空港に次いで多くの人が利用する巨大な空港だ。
飛行機を降りて、ガラス張りの空港で感じたことは「明るい!」。
羽田空港を飛び立って、フランスのパリ=シャルル・ド・ゴール空港で乗り継ぎをして着いたバルセロナ。
真夏の8月中旬だったせいか「ヨーロッパの南」という地理的特質を、空港の中でさえ視覚で感じとれた。
旅行者の足音だけが響く静けさも、日差しをより印象的なものにした。
「明るく」は「楽しい」「にぎやか」とセットで使われることが多いと思っていたから、「明るく」「静か」な空間は新鮮だったのだ。
例えば、羽田空港で静かな場所を探すのは少し難しい。誰もいない廊下でも「足元に注意してください」という自動音声が繰り返されている。
バルセロナ=エル・プラット空港はヨーロッパ圏内路線に加えてLCC、中南米のスペイン語圏諸国との間を結ぶ大西洋縦断路線の運航も増加していて、かなりの利用者がいるはずなのに、整然としていた。
たった2時間弱のフライトでシャルル・ド・ゴール空港と雰囲気がガラッと変わった気もした。
冒険を楽しみにするバックパックを背負ってスニーカーを履いているような旅行者はいなくなり、リラックスしたサンダルやワンピースのリゾート客ばかりになった。
そうだ、世界有数のビーチリゾートのある国へ来たのだと思った。
真夏のスペイン旅行では強烈な日差しは常に印象的だったが、ガラス越しの明るい光の中を、多くの家族や恋人たちが静かに、鮮やかなリゾートスタイルで行き交う幸せな光景は、最も記憶に残った光景の1つだ。