ミロ 絵画を超えた絵画

Miro

バルセロナ旅行を考えるまで、ミロの絵画だけでなく生涯にまで思いを巡らせたことはなかった。

書籍「ミロ 絵画を超えた絵画」は、カラーでたっぷりと作品を見せながら、彼の子ども時代から晩年までのエピソードを教えてくれる。それぞれの時代に呼応する作品と解説を読めるのが特徴。

当時の写真はコラージュのようにレイアウトされていて、ミロとその家族・友人たちの雰囲気が自然と伝わってくる。それでいて、文字サイズも大きく気軽に読める。

意外なことに、若い頃のミロは周囲の反応から細密画からの転身をはかっていた。かと思えば、美術作品が投機対象にされることへの反旗として、カンバスを燃やした作品をその主張ととともに堂々と発表したエピソードなど、バルセロナをウロウロしているだけではわからない、人間としてのミロの魅力が伝わってくる。

彼のスペイン国内での公式展覧会は、国際的に著名になってから大分時を経た晩年になって初めて開かれた。カタルーニャ人としての彼の信念とその信念を貫くため活動のためだ。信念は創作テーマではなく、ミロという強い人間の主張だったことがわかる。

彼の絵画に登場するシンボルには意味があると考えられているものが多くあることからも、美術館へ行く前に一読するのがおすすめ。

  • ミロ 絵画を超えた絵画
  • ジョアン・プニェット・ミロ (著),グロリア・ロリビエ=ラオラ (著),大高 保二郎 (監修),遠藤 ゆかり (訳)
  • 発行年月:2009/9
  • 出版社:創元社