東京からウィーンまで来たのは、ここを訪れるためだったとも言える。一生のうちに一度、セセッション(Secession)へ来て、常設展示されている全長34メートルの壁画、ベートーヴェン・フリーズ(Beethoven Frieze)の実物を見てみたかった。
セセッションは、ウィーンの保守的な芸術団体キュンストラーハウスから独立するために誕生したウィーン分離派の拠点。ウィーン分離派はグスタフ・クリムト(Gustav Klimt)が初代総統を務め、1897年にその周辺の芸術家たちとともに設立した。創立メンバーには、画家カール・モル(Carl Moll)や、建築家ヨゼフ・ホフマン(Josef Franz Maria Hoffmann)、ヨゼフ・マリア・オルブリヒ(Joseph Maria Olbrich)がいた。
1898年、オルブリヒによって、ウィーン分離派のための展示会場としてセセッションは建てられた。建物の正面玄関上部には、「時代にはその時代にふさわしい芸術を、芸術には芸術にふさわしい自由を」というモットーを掲げた。
通りを歩いていると、突然「金色のキャベツ」があらわれたので驚いた。この、金色のメッキが施された3,000枚の月桂樹の葉で飾られた建物上部のドームが、セセッションが「黄金のキャベツ」と呼ばれている所以だ。
焦がれていた場所にいざ立つと、子供みたいにドキドキした。まずは建物の外側をぐるっとまわって眺める。ほうほう、これがセセッションですか。ファサードから側面まで、ユニーク動植物の装飾が施されている。
セセッションではウィーン分離派会員の執行役によって選ばれた展覧会が年に10〜15回開催されている。
チケットを買って中にはいると、様々な展示があるにもかかわらず、はやる気持ちを抑えられずどうにも落ち着かないので、まずはベートーヴェン・フリーズを見ることにして地下へ降りていく。
ベートーヴェン・フリーズ(Beethoven Frieze)
- セセッション(Secession)
- https://www.secession.at/en/
- カールスプラッツ駅(Karlsplatz)から徒歩3分
- 地図