2022年9月、念願の高千穂を旅行することにした。まずは行き方だ。東京から九州へは飛行機で向かうのだが、一体どの空港に降り立てばいいのだろう。簡単に調べると、高千穂へは熊本空港がもっとも近く、レンタカーが便利というのが総意のようだった。これは問題だ。私は10年ほど車を全く運転していないペーパードライバーだからだ…

熊本空港から高千穂へバスが出ているという情報を見つけて一筋の光明が差したが、本数が少なく、1日で東京から高千穂へ移動しようしている自分には不可能なスケジュールだった。あとで高千穂のバス運転手さんが「かつては1日4、5本のバスが熊本空港から高千穂に出ていたけれど、利用者が少なく本数が減ってしまった」とおっしゃっていた。

熊本空港から高千穂へのタクシー代やペーパードライバー講習の受講も検討したが、車窓から景色を眺めるのが好きということもあり、3時間以上かかるけれど、宮崎空港から電車とバスで高千穂に移動することにした。

電車やバスの時刻表とフライトのスケジュールを必死に合わせていたのだけれど、予想外の台風が旅行の直前に宮崎を直撃し、電車は運休となってしまった。現地で被害に遭われた方のことを思うと心が痛むけれど、予定通り観光をすることも応援になるかと考えた。

必死のドライブも覚悟したけれど、レンタカーは満車という結果に終わった。こういう手配は事前にしておくものですね…

空港のタクシー運転手さんにも相談し、宮崎空港から延岡駅まで2万7千円＋高速代約3千円で送ってもらい、延岡駅から予定通りバスに乗って高千穂バスセンターへ移動することにした。宮崎空港から高千穂までタクシーで移動してしまうと、5〜6万円かかってしまうという見立てだったからだ。道中、美々津を通り過ぎる際に運転手さんが声をかけてくださって、とても美しい海岸を見ることができた。

帰りこそ予定通りの電車旅をしたのかったのだけれど、電車に遅れがあり、延岡駅ではバスから電車（にちりん）へ慌てて飛び乗った。そこからは時折海を眺めながら、宮崎空港まで快適な電車旅を楽しんだ。

そんな風に帰りは延岡駅員の方が「電車が遅れているから、今来ているのに急いで乗った方がいい」と声をかけてくださったり、行きではタクシー運転手の方が延岡駅のバスの時刻表を気にしながら送ってくださった。高千穂バスセンターで帰りの延岡駅行きのバスを待っているときも、一度目の前をバスが通り過ぎてぽかんとしていた。そうすると、近くに停車していたタクシー運転手の方が「もう一回くるから大丈夫だよ」を声をかけてくださった。宮崎のみなさんのあたたかさや、観光のプロフェッショナルであることに感動した。